多焦点眼内レンズについて特徴や種類、比較、費用についてご説明します。

多焦点眼内レンズとは?

多焦点眼内レンズは、多焦点とあるように焦点(ピント)の合う距離が複数あるレンズです。複数の焦点を持つことで、眼鏡を使用する頻度を減らすことができると言われています。

多焦点眼内レンズの長所・短所・適応

●長所:
メガネが完全に不要とはいきませんが、術後、メガネの使用頻度を減らすことができる点です。
●短所:
①ハロー:夜間、ライトの周りに光の輪が見える。
②グレア:光がにじんで見える。
③waxing:薄い膜が一枚かかったように見える。
④コントラスト感度低下:色の鮮明度が低下します。
●適応:
上記①-④の短所があるため、見え方に正確性を求めるような緻密な作業を行う職業の方、 色を扱う職業の方、また几帳面で、何に対しても正確性を求める方には、多焦点眼内レンズは 向かないとされています。
上記の短所を受け入れることのできる方であれば、とても有意義なレンズと言えます

多焦点眼内レンズ 大きな分類

多焦点眼内レンズは、大きく分けて3種類あります。

①連続焦点:近方から遠方まで連続して見えるのが特徴。手元の見え方も重視したレンズです。
②3焦点:40cm, 60cm, 5mなど3つの距離の視力が特に良好です。
③焦点深拡張型:多焦点の中ではハロー・グレアが少なく、色調が自然に近いです。しかし、近方、中間距離は上記2種類の多焦点レンズと比較して劣っています。

多焦点眼内レンズの種類と見え方の特徴

多焦点レンズの種類 タイプ グレア
ハロー
見え方の特徴
A.テクニス シナジー
B.   〃  乱視用
連続焦点 中高度 近方から遠方まで連続して見えるのが特徴。
手元がよく見える。
C.パンオプティクス
D.   〃  乱視用
3焦点 中度 40cm,60cm,5mがとても良好。
手元はそれなり、中間から遠方を重視したレンズ。
E.ビビティー 焦点深度拡張型 極軽度 40cmは0.6、66cmは0.8以上、5mは良好。
色調が最も自然に近い、ハロー・グレアは最小。

多焦点眼内レンズの特徴比較

多焦点レンズの種類 近方 中間 遠方 夜間運転 お薦めな方
A.テクニス シナジー
B.テクニス シナジー乱視用
×× 裸眼で読書をしたい方。
夜間運転する方にはお薦めしません。
C.パンオプティクス
D.パンオプティクス乱視用
× 読書はメガネが必要。
遠方重視、夜間運転はOK。
E.ビビティー ×× 鮮やかな色調、夜間運転は一番良好。
手元は眼鏡必須。

単焦点の鮮やかさと多焦点のメガネなしのメリットを欲張りたい方には

ビビティーがお勧めです。その場合、レンズの遠方焦点距離を左右でずらすモノビジョンという方法を採用することで、メガネなしを実現することも可能です。その場合は、利き目を5m、利き目ではない方の目を2mに合わせ、両眼で手元から遠方までカバーする発想です。詳しくお聞きになりたい方は、医師にご相談ください。

多焦点眼内レンズ使用の白内障手術 負担額

手術にかかる費用とお支払い方法➡費用は、下記①と②の合計額となります。

①手技代(保険適応):➡手術当日に現金でのお支払い。※カード使用不可。
片眼で、1割負担で、約15,000円 2割負担で、約30,000円 3割負担で、約45,000円です。両眼は倍額になります。

②多焦点眼内レンズ代(自費の部分):➡手術3-4週間前までに口座振り込みでのお支払い。

多焦点眼内レンズの種類 金額
片眼 両眼
A.テクニス シナジー 310,000円 620,000円
B.テクニス シナジー 乱視用 330,000円 660,000円
C.パンオプティクス   270,000円 540,000円
D.パンオプティクス  乱視用 300,000円 600,000円
E.ビビティー 270,000円 540,000円

※振込手数料その他診療費の支払いに関して生じた費用は、全て受診者ご自身にてご負担頂きます。
※多焦点眼内レンズを使用した白内障手術は、基本的には両眼の手術です。
片眼手術の方は、事前に院長から説明があった通り、良い方の目にコンタクトレンズを装用頂くなどの条件があります。
※多焦点眼内レンズ代は、保険適応外(自費)にて、高額医療費制度は適応されません。

術後の視力に関して

想定した距離が見えるようになるまで、1か月~半年と少し時間のかかる方もいます。
個人差がある場合があります。