院長コラム 『多焦点レンズで後悔しないためには』 2024.3.17

院長コラム   『多焦点レンズで後悔しないためには』   2024.3.17

当院のホームページの検索キーワードを調べると、多焦点レンズを用いた白内障を希望され検索されていると思われる方のキーワードに『多焦点レンズ』、『後悔しない』が上がってきます。

これは多焦点レンズを用いた手術をして、後悔するケースがあるからだと思います。そこで今回は、多焦点レンズを用いた白内障手術で後悔しないためにはと題して、眼科医の立場から話してみようと思います。

多焦点レンズを用いた白内障手術を行って、後悔される患者さんの多くは、期待している多焦点レンズの見え方と手術後の実際の見え方が異なるからだと思います。その多くの場合は、多焦点レンズに対する過度の期待があるんだと思います。

当院では、想像上であるにしろ多焦点レンズに期待する見え方と実際の見え方とをなるべく一致させる様に説明すること一番大切であると思っています。これは患者さん自身だけでなく、手術を提供する私たち眼科医にもとても大切なことだと思っています。

実際は術後の見え方を言葉で表現し切ることには、限界がありますが、特に注意して説明する2つのケースをご紹介します。

一つ目は、あたかも多焦点レンズが欠点のないオールマイティーなレンズであると思っている方です。

多焦点レンズへの期待がとても大きく、欠点のないレンズと思い込んでしまっている場合です。

この様なケースの場合には、まず多焦点レンズの欠点に関して充分に理解してもらえる様な説明をしっかり行います。色味がより実際に忠実でシャープに見える点においては、単焦点レンズの方が明らかに優れています。なので、多焦点レンズ希望でいらしても、あえて単焦点レンズの説明もさせて頂いています。場合によっては単焦点レンズをお勧めする場合もあります。多焦点レンズには向かないとお伝えした上で、それでも多焦点レンズをご希望なさる場合には、その欠点を受け入れてくださることをご承諾頂いた上で手術を行います。

二つ目は、多焦点レンズに関する質問数がとても多い場合です。質問数が多いのは、手術に対する不安の現れであると理解していますので、全てお答えしています。しかし、とても詳細な質問が多い場合、見え方の理想がとても高い気がしています。そんな方は性格的にもとてもキッチリされていて、完璧主義な方が多い印象を持ちます。

性格的にも繊細な方、もしくは性格的に穏やかでもお仕事上で見え方の色の質感や鮮明度の要求度が高い場合は、多焦点レンズの適応外と考えています。

これは多焦点レンズは、メガネの頻度が少なくなる代わりに、コントラストが多少あまいでシャープさの劣る見え方になり、色味も実際とは少し異なるため、術後の満足度が低くなるケースが多いからです。

それでも多焦点レンズを諦められない方からよくある質問として、『多少シャープに見えなくてもメガネをかければ改善するんでしょう』という質問があります。これはメガネをかけても改善しません。なので、質問にお答えした後はみなさんとてもがっかりされてしまいます。しかし、術後に後悔される様なことがなくて良かったですとお話しします。

ちなみに僕自身はまだ白内障はありませんが、白内障になったらどんなレンズを入れるかを考えることがあります。眼科医はとても詳細な違いを目で見てとらえる必要があるため、多焦点レンズの便利さは理解しつつも、単焦点レンズを選ぶと思っています。

以上、『多焦点レンズで後悔しないためには』をお伝えしました。多焦点レンズはしっかりと適応を守って行えば、人生を変えるほどのものにもなりえますし、逆にストレスの元ともなりうるものだとだと思います。是非、慎重に考え、自分に合ったものを選んでください。

『うれしい、楽しい、大好き、きっと上手くいく、ついてる』良い言葉を使って、自分も周りの人も幸せにしちゃいましょう。

今日一日が良い日でありますように😃😊😀🍀🔵