最近の白内障手術の進歩について

白内障手術は、近年眼内レンズの進歩により非常に多様化しました。

それは、色々な多焦点眼内レンズが登場したことにより、眼内レンズの選択肢が広がり、患者さんの希望に合わせて手術後の見え方をある程度選択できるようになったと言うことです。言い換えれば、白内障手術も自分仕様にすることができるようになったのです。

そこで思うことは、「白内障手術に何も求めるか」ということです。

白内障手術後にこれまで通り眼鏡を使いながら見ることに満足なのか、それとも眼鏡のいらないより快適な裸眼の生活を実現したいのか、どんなことを白内障手術に求めるのかと言うことです。

ここで白内障とその手術に関して整理してみます。

白内障とは、目の中に存在する水晶体というレンズが白濁して濁り、見づらくなってしまう病気です。
メガネをしっかり合わせても、視力が出づらく見づらくなった時に白内障を疑います。白内障になった場合、視力を改善する唯一の方法が手術となります。
白内障手術は、簡単に言うと濁った水晶体の外側にあるカプセルを残し中身の濁りのみを吸い出します。そして残ったカプセルの中に眼内レンズを挿入し、手術を終えます。

上記の手術過程の中に出てきた眼内レンズには、大きく分けて2つの種類があります。
①単焦点眼内レンズ
②多焦点眼内レンズ


以下にそれぞれを説明します。

①単焦点眼内レンズ

単焦点眼内レンズとは、ハッキリと見える距離が一カ所のみのものです。遠方に焦点距離が合った単焦点眼内レンズを希望し、手術で挿入すれば、遠方は裸眼で見ることができます。しかし、パソコンを見るような中間距離や読書をするときの近距離では、必ず眼鏡が必要です。手術をするとメガネなしで全ての距離が見えると思われる方が多いため、手術前に必ずこの点をしっかりと説明しています。単焦点眼内レンズは、ピントの合う距離は1つしか選べませんが、最大のメリットがあります。それは、保険が適応されるということです。1割負担の方で約15000円、3割負担の方で約45000円の支払いで済みます。なので、眼鏡をかけることは全く苦にならない、なるべくなら手術費用も抑えたいという方には、非常に良い選択肢になります。

②多焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズは、言い換えれば2焦点眼内レンズ、もっと分かりやすく言えば、ハッキリ見える距離が2つあるものです。メガネでいう遠近両用のイメージです。これは、焦点が遠方だけでなく、もう一つ手元もしくは中間距離にも焦点距離を作ることができ、2つの距離を同時に見ることができるものです。

この多焦点レンズを使用することによって、ほとんどの患者さんが眼鏡のいらない生活を送ることができるようになると言われています。

この多焦点眼内レンズの手術にかかる費用は、単焦点眼内レンズが保険適応であるのに対し、多焦点眼内レンズは自費手術になるため保険適応外になります。はるやま眼科では、片目で38万円、両眼で78万円になります。

多焦点眼内レンズには、現在下記の2種類があります。(令和元年8月4日現在)

1.近方と遠方の両方にピントが合うもの。
2.中間距離から遠方に幅広くピントが合うもの。

1.近方と遠方の両方にピントが合うもの。

このタイプは、手元の距離は、30cm,40cm,50cmなど希望に合わせて選ぶことができます。しかし、中間距離は視力が落ちる欠点もあります。また、特に30cmのものでは、グレア、ハローといって夜間運転時に対向車のヘッドライトやテールランプの光が周辺に広がり眩しさを感じる欠点があり、夜間の運転を頻繁にされる方には不向きであると言われています。しかし、読書をされる方などにはとても喜ばれているのがこのタイプの多焦点眼内レンズです。

2.中間距離から遠方に幅広く焦点距離があるもの

このタイプは、手元のハッキリ見える距離は50cmになりますが、50cmから遠方まで緩やかにピントが合うものです。車の運転や屋外でのスポーツをされることが多い方で、読書の時は老眼鏡をかければいいと割り切ることができる方には非常に向いているものになります。最近は新聞もパソコンでチェックしているという方もいらっしゃるので、アクティブな方にこのレンズを選ばれる方が多い様に感じています。
また、多焦点レンズに共通して言えることは、コントラスト感度の低下があります。これは、若干色の鮮やかさが低下する様なイメージと思います。

以上、単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの特徴に関して、説明しました。
両者のレンズの特徴をよく理解した上で、ご自身の生活スタイルやご希望を明確にすることで、白内障手術を機によく見えてストレスのない有意義な人生を送ることができます。

見え方をリセットする一生に一度のチャンスと捉えることのできる白内障手術。是非じっくりと慎重に考え、有意義な機会として捉えて頂けると良いと思います。

その大切な選択において、少しでもお役に立てればと思っています。