院長コラム 『セザンヌの言葉』

『セザンヌの言葉』

セザンヌ。絵画に詳しくない方でも、一度は聞いたことがある名前ではないでしょうか。

ポール・セザンヌ。後期印象派のフランスの画家で、ゴーギャン、ゴッホとならんで、3大後期印象派の1人として有名な画家です。あのピカソも、セザンヌを近代美術の父と称していたそうです。

今日は、そのセザンヌの言葉を紹介します。

『画を描く上で一番大切なことは、どこで描き止めるかということ。つまり描きすぎないことだ』

流石、天才のいう言葉は、一味も二味も違いますね。

僕は年に5回眼科の講義をしています。念入りな準備をし、講義にのぞむのですが、今日は完璧に話しきったと自分で満足した日はなぜか聞き手の反応が今ひとつなんです。逆に今日は話し足りなかったなあと思った時ほど、反応が良かったりします。そんな時にこのセザンヌの言葉を思い出すんです。

これは、人付き合いや恋愛にも当てはまるような気がします。人と会ったとき、もう少し話したかったと思うくらいの方が、また会いたいと思いますし、相手に少し分からない部分がある方が謎めいていて、より惹かれたりすることもあるので不思議です。

これはなぜなんでしょうか。

人は考える余地や余白が残されていた方が、想像力を掻き立てられるからでしょうか。例えば、同じ作品を小説で読むのと、映画で観るのとでは、登場人物の顔や出てくる情景を想像する分、小説の方が面白く思えるのを何度も経験しますが、これも同じことなのかもしれません。

更に知りたいなどの意欲や想像力は、その余白が刺激するのかもしれません。

『秘すれば花なり』これは世阿弥が言った言葉ですが、隠すこと、その分け目を知ることこそ、芸事の極意だったのかもしれません。何かセザンヌの言葉と共通するものを感じます。

つい調子に乗って、全部出し切った方が良いと考えるのは、やはり凡人の考えなんでしょうか。凡人丸出しの春山は、まだまだ修行が足りないみたいです。

『うれしい、楽しい、大好き、きっと上手くいく、ついてる』良い言葉を使って、自分も周りの人も幸せにしちゃいましょう。

今日も一日いい日になりますように。